ピリカメル

植物とともに美しい世界を創造してゆく

えりもの秋は宝ものいっぱいの秋

太平洋にとんがり突き出た襟裳岬

 

日本屈指の強風

冬も雪が積もらず凍てつく大地

人にとっても植物にとっても厳しい環境

 

“えりもの春は何もない春です”

森進一の歌で名を知られるようになったという

 

かつては豊かな原生林があったけれども

明治以降、放牧地として開拓したり

暖をとる燃料のため

過度の伐採が行われていきました

 

ただでさえ厳しい環境

木々に守られていた植生は壊れ

砂漠化は広がっていったのです

 

樹がないものだから土や砂が海に流れ

昆布は枯れ、魚は寄り付かず

漁を生業にしていた漁師たちは苦境に立たされ

砂の舞う嵐で日常の生活も困難になりました

 

この砂漠地帯を緑地化して

豊かな自然環境を取り戻そうとする

運動が始まったのが昭和20年代

 

種を蒔いたあとは強風で飛ばないよう

よしずや浜に打ち上げられた海藻の屑で覆ったり

人力で溝を切り水はけを良くする作業を行ったり

 

たくさんの壁にぶつかりながら

途方もない地道な作業を続け

何十年も世代を超えて

少しずつ少しずつ緑は取り戻されていきました

 

今では、その浜は百人浜と呼ばれ

特殊な自然環境が育んだ珍しい植物たちを愛でたり

美味しい海の恵みをいただくことのできる

魅力的な場所となっています

 

強風のため

標高数十メートルでも高山植物が見られ

また、同じ植物でも背丈が低く

太く逞しく生きています

 

 襟裳の花といえば

“ヒダカミセバヤ”と“チシマセンブリ”と言われるみたい

9月くらいだとどちらも見られる可能性が高そうです

 

断崖絶壁に鮮やかな花を咲かせる

“ヒダカミセバヤ”

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“ミセバヤ”は見せたいという意味の古語から来ているんですって 

こんなところでなんとも健気な、、

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“チシマセンブリ”

苦味健胃薬センブリの仲間

本家より可愛いではないですか

薬師的にも気持ちがアガリます⤴︎

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アイヌのハーブ

“エント(ナギナタコウジュ)”も見っけ!

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“ヤロウ(セイヨウノコギリソウ)”

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昆布やつぶ貝などの海の幸も美味しゅうございました♡ 

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私たちは歴史を観ても

目先のことを優先して

長い目で見た調和を壊してしまうことがなんと多いことか

 

世界のことを知り、視野を広く持ち

未来に及ぼす影響への想像力を持つ意識を持たなければ

目の前のことに反応的に対処してしまうものなのでしょう

 

世界を消費するばかりでなく

天に豊かさを貯めているだろうかと

恐れからくる反応的な行動ではないだろうかと

心に問いたいと思うのです

 

もちろん!

その循環は巡り巡って

自身を豊かに幸せにするよう設計した方が

より大きく貢献できるのだから

みんな豊かに幸せになってよいのですよね

 

 

 

人の横顔のような崖

広い太平洋に向かって何を歌っているのかしら

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