悲しみと幸せの色香〜さくら
春の心は、どうしようもなく桜の色香に誘われてしまう
それはきっと心の深いところにある悲しみに響くから
日本では昔から桜の樹皮を民間療法でもよく用いられました
生薬名「桜皮(おうひ)」と呼ばれ、漢方薬にも配合されます
鎮咳、去痰、解毒、排膿、収斂の効果があるとして
呼吸器症状や蕁麻疹や腫れ物などの皮膚病、腸炎、魚の中毒などに用いられます。
中国では使われていないためか、帰経(五臓でどこに働くか)は不明ですが
「肺」とその表裏の関係にある「大腸」につながっている感じがあります
「肺」は、呼吸の中でも呼気(吐く息)を司り、不要なものを下に降ろします
「肺」は、気血水を身体の隅々に巡らします
「肺」は、免疫や皮膚など、外界(腸管内も外界)との境目を担います
「肺」に配当する感情は悲しみです
桜皮は、女性の皮膚に特に多く存在するエストロゲンβ受容体に結合し、皮膚におけるエストロゲン(女性ホルモン)の産生を促すとも言われています
また、脂肪細胞への糖の取り込みを促し、血糖値を正常に保つなどの効果も、実験レベルでは期待されているようです
桜の花のお茶は二日酔いにも良いとされますが
コラーゲンの糖化(血中の余分な糖がタンパク質や脂質と結びつき老化物質となる)を抑え
コラーゲンの生成を促す効果もあることも分かってきたとか
桜餅の香りは、桜に含まれるクマリン配糖体というものが
塩漬けにより芳香物質に変化することにより生まれますが
あの香り成分はリラックスした幸せな気持ちにさせてくれます
いずれも幸せ受け取る力、瑞々しい女性性に関係するものですね
桜の花はふんわりとしたエイジレスな女性らしさがあります
それは無知な若さの魅力ではなく
悲しみも幸せも包み込む色香がある
悲しみが癒えると
心は温かく柔らかく
春のエネルギーに乗って循環し
のびやかに豊かさを創造してゆきます
今年も桜が訪れて
何かを洗い流し、去ってゆきます
世界は移ろうけれど
真ん中にある光はずっと変わらずに在り続けます