暗闇に咲く光 〜スノードロップ
スノードロップは冬の終わりから春にかけて咲き出し、春の訪れを告げてくれます。
様々な国で言い伝えのある花ですが、まだ雪の残るうちから咲き始めることも多く、暗闇や死の恐れの向こうに再生する、静かな灯火を象徴するような花だと感じています。
キリスト教では、2月2日に聖燭節という、マリア様のお清めの祭りを行う習わしがあります。
クリスマスの40日後である2月2日、マリア様がイエス様を連れて教会でお潔めをされました。(産後は汚れがあるとする、ユダヤの伝統的な慣習から。)
イエス様が人々に明かりをもたらすことと、もともと異教徒の春の訪れを祝う祭りとが合わさり、光の祭典としてろうそくを祝福(祝別)する日になったようです。
スノードロップは開花の時期が一致することや(北海道は3月頃と遅いのですが)、雪のような純白の花であること、そしてその形がランプシェードを伴った灯りにも似ているからでしょうか、聖燭節と関係が深く、修道院の庭でよく育てられていたそうです。
ある地域ではその日にスノードロップをボウルに集めて家に持ち帰ると家が清められるとされました。
また、エデンの園を追われたイヴが、一面に広がる雪の中で嘆いていたところ、天使が雪をスノードロップに変えて慰めたという伝説もあり、希望の象徴としての意味合いを強めています。
暗闇や冥界との距離が近い意味を持つスノードロップには、ガランタミンという成分が含まれ、認知症の治療薬ともなっていることも示唆に富んでいるように思います。
ガランタミンは、スノードロップと同じヒガンバナ科のヒガンバナにも含まれます。
ヒガンバナも冥界に近いストーリーがあることは以前の記事でもお伝えしたことがありました。
さて、函館も春が訪れ、スノードロップが見頃を迎えています。
市内の遺愛学院(プロテスタントのミッションスクール)は、クロッカスが有名ですが、スノードロップも素晴らしいです!
スノードロップはこんなに可憐な容姿なのに、、
枯葉を突き破って咲いています笑
惚れ直しちゃうわぁ♡
目の前が暗闇に見えるとき、それは過去からきた枯葉のようなものがふわりと被っているだけなのかもしれません。
そんなものは構わずに、真っ直ぐに光の方へ向かい、自らが灯火となり周りを優しく照らす。
このような時勢、スノードロップの在り方に勇気をもらう方も多いのかもしれませんね。
“闇夜の果て
あなたの心に
清らかな光が灯ります
その美しい響きが暁の空に
静かに広がってゆきます”
〜Pirkamer文庫より