ピリカメル

植物とともに美しい世界を創造してゆく

彼の岸

f:id:pirkamer:20190920125614j:plain

 

彼岸花はお彼岸の頃、ちょうど今ごろに花を咲かせます

 

全草に毒を持ち

 

土に穴を開けるモグラやネズミを避けてくれるので

 

田畑の畔や墓地などによく見られる花

 

 

死やあの世を連想させ、不吉な怖いイメージもあります

 

花言葉も「あきらめ」「転生」「独立」「再会」「悲しい思い出」など

 

どこか切なさを感じるものばかりです

 

 

別名、曼珠沙華とも呼ばれ

 

その意味は天界の花

 

仏教との縁も深い花といわれます

 

 

法を説くお釈迦さまの頭上に

 

降り注いだという一節が法華経の中にもあるとのこと

 

 

仏教では“あきらめる”とは

 

明らかに見るという意味を持ちます

 

道の理を心得ること

 

 

結果、何か想いを終わらせる場合でも

 

執着なく、すっと手放しが起こり

 

そこに生まれた空白に真のビジョンが届くような

 

すっきりとニュートラルな状態

 

 

明らかに見ることができれば

 

転生や独立、再会、思い出の中に見ていた切なさは

 

自分が映した幻だったと気づく

 

 

怖いと思っていた彼の岸は

 

自分が明らかに見ることができなかっただけだと

 

 

そして転生は生きながらにしてもできるし

 

今ここで生きたいものを生きることができるということ

 

 

 

表にある重さの裏に

 

そんな軽やかさを受け取っています

 

 

 

ちなみに彼岸花は毒性が強いけれど

 

その鱗茎はデンプンに富み

 

飢饉のときには救荒食として利用されたそうです

 

その毒(アルカロイド)は正しい方法で水にさらせば抜くことができます

 

 

彼岸花の鱗茎は

 

生薬名は石蒜(せきさん)

 

腹水などの浮腫みに唐胡麻(蓖麻)と練ったものを

 

足裏の湧泉に貼り付けるという方法がよいと

 

師匠の一人に教えられました

f:id:pirkamer:20190920125726j:plain

(唐胡麻、ヒマシ油の原料)

 

 

 

また、彼岸花の中のガランタミンという成分は

 

西洋医療の分野でも認知症治療に多く用いられています

 

 

 

 

f:id:pirkamer:20190920125355j:plain

 

 

あちら側とこちら側の間にあるような存在

 

彼岸花からはそんな印象を感じるのです

 

 

陰と陽が同量になる頃

 

あの世とこの世が最も近づくと言われるお彼岸に

 

美しく立ち現れたこの花を

 

あなたはどんな想いで愛でるのでしょうか