ピリカメル

植物とともに美しい世界を創造してゆく

チベットの精神医学

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色心不二

自他不二の生命観に根ざした

医道即仏道

チベット医学の粋!

 

とある古本屋で

帯の言葉に引きつけられ出会った

一冊の本が面白すぎます

 

チベットの精神医学―チベット仏教医学の概観

チベットの精神医学―チベット仏教医学の概観

  • 作者: テリークリフォード,Terry Clifford,中川和也
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 1993/12
  • メディア: 単行本
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その精緻な生命観は美しく最高にクール!

 

 

 

癒しとは

薬とは

医薬の道とは

 

その真ん中にあるものとは、、

 

個々の仏性、圧倒的な輝きが

当たり前にあるものだと

知っているという智慧

 

循環(関係性)の中において

その輝きを受け取ることで

引き出す在り方

 

このことは書かれてはいないけれど

自分がこの本を読んで

心の中に強調されたことです

 

 

 

 

 

 

 

(仏陀の本性の女性的な側面を表す菩薩ターラー)

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自分の内にそのかけらでも見出したいものです、、

 

 

 

 

 

 

 

メモ代わりに本の内容を一部抽出したので

興味のある方はのぞいてみてください(^^)

 

 

 

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あらゆる現象は鏡に映る像のごとく、まことにその人自身の心に抱かれた概念にすぎない

 

心身のあらゆる病や苦の源は、心を調律することをなおざりにしていることにある


精神病の一般的で根本的な原因は、人間の最も奥深いところにある霊的な傾向や見識、またその者に内在する心理的傾向(気質)に反した生活を送ること

病はわれわれが行なっていることが根本的に均衡を欠いたものであることを示す信号である

しかし、罪の意識や自責の念は、迷妄によって生ずる障害を増やすだけであり、さらに不安や疾病の原因となってしまう

自分自身に対して完全に正直であること、心を開くことが必要

病はわれわれを成長させ、過去の否定的な行動を悟らせ、また自己治療を通じて自己啓発の実践に入る機会を提供してくれる

 

目先の治癒を求めないこと

霊的なレベルにおいて根本的な毒が存在しているのであるから、症状を強制的に取り除くなら、その毒の悪影響がさらに増大する可能性がある

 

脈管(*1)をまっすぐに維持することにより、霊的な力、すなわち風はおのずと適切に流れる

こうなると精神は自然にくつろぎ、安らかで快適な状態となる

姿勢は精神に影響を及ぼす

ヨーガの呼吸法を行う時は、背筋を伸ばすことが特に重要なのである


狂気の五つの原因(互いに関連しあっている)

①カルマ

過去の性癖、習慣、行為に起因する(魂の課題とも言える)

身体それ自体は三種の根本的な煩悩(三毒、貪欲・嫌悪・無知)の力によって生成される

(カルマを伴う意識が輪廻の中でこの世に引きつけられ生命が生まれる)

薬になるのはダルマの実践のみ

⇨徳行(愛と善行と慈悲の啓発)、禅定(精神の制御)、智慧の啓発(縁起による相互依存的起因、空性の認識)

ダルマの実践は根本的な分裂と分割を再統合する働きをする

いかにして激しい苦を自己憐憫や狂気ではなく、慈悲と智慧へと変えていくことができるかということ

 

現在の状況を経験する時の智慧のあり方が、われわれの未来を決定する新しいカルマを生み出す

われわれの現在の状況は宿命的ではなく、きわめて創造的である



②悲嘆や心配など

体液の障害を生み出す⇨③

 

 

③身体における均衡の崩れ(体液の不均衡)

三つの体液は、精神的局面においては、主体と客体との二元性(*2)を生じさせ、生命と宇宙とを表出するカルマの力を生む


⑴風素(ルン)=アーユルヴェーダのヴァータに相当

過剰により情緒不安定・落ち着きがない・緊張・集中力散漫

(全ての精神の乱れは風素の撹乱が絡む)

貪欲・愛欲・執着が毒となる

禁欲、精神的な負担、睡眠や食べ物の不足、自然な排泄作用の抑圧などによっても増加

病んだ時には暖かい環境、親しい友とくつろぐ、睡眠を十分にとる、適切な呼吸法

油っこく滋養のある食べ物がよい

甘・酸・鹹(しおからい)味、油性・重性・滑性の薬

⑵胆汁素(チーパ)=ピッタに相当

過剰により、攻撃的で激しい狂気

嫌悪や怒りが毒となる

過度の興奮・環境の変化・激務・照りつける太陽の下にいることによっても悪化

病んだときには、涼しく静かな環境、冷性の食べ物が良い

気分を楽にしゆっくりふるまうこと

甘・苦・(渋)味、希薄性・鈍性・穏和性・寒性の薬

⑶粘液素(ベーゲン)=カパに相当

過剰により、心を閉ざし、沈黙・不活発で憂鬱

精神的迷妄・無知・身体的怠惰が毒となる

重い食事、湿気の多い場所、惰眠・意気消沈などによっても悪化

病んだときには、運動が有効、暖かい環境・火の近くに座る、熱性の食べ物がよい

辛・酸・渋味、鋭性・粗性・軽性の薬

 

 

④毒

 


⑤悪魔的影響力

悪魔は、恒常的な「我」の存在という幻想に執着する根源的な無知から生ずる

 

悪魔は内部からわれわれに襲いかかる集合無意識の否定的元型(*3)としても説明できる

 

幽霊は自らの否定的な投影、あまりに恐ろしくて意識のなかへ入れるのを容認できず、外部へと投げ出した結果、われわれを襲って来る、内部にある暗い力のこと

自我から疎外された無意識的人格や衝動と解釈できる

 

悪霊は概念化作用から生じ、精神の二元性に由来する

霊もわれわれも空(くう)であり、何ものもわれわれに危害を加えることができない

空性を認識することによって、そうした区別は全くなくなり、あらゆる病や否定的なものは調伏され滅せられる

悪魔払いに必要とされるのは、空性への理解と霊に対する慈悲である

それがあれば手の込んだ儀式や悪魔払いは本当は必要ない




優れたチベット医は薬物をそれにふさわしい敬意をもって扱い、それを薬師如来への供物とみなす

医師が優れた医薬をつくり出せるかどうかは、医師の感受性や心の明晰さ、そして特に他者を救済しようとする意図の純粋さにかかっている

 

 

*1 脈管:霊的な風(気)と精滴(生命のエッセンス)の存在するところ。固定的なものではない。中央脈管にはチャクラが観想される

*2 二元性:自と他、主と客、善と悪、明と暗、陰と陽など、背反する二つの構成要素に分けられるという概念。

*3 元型:集合的無意識の中に共通する象徴的なイメージ像。ユング心理学の概念。