美しい女性
立てば芍薬
座れば牡丹
歩く姿は百合の花
美しい女性を表すことわざです
このような女性でありたいもの
様々な受け取り方があるようですが
これらの花の地下部は生薬として使われ
用いると美人になるという裏メッセージもあるとかないとか、、
なんとも興味深く
是非ともそのエッセンスをいただきたい!
ということで今日はその話題を
ボタン科多年草
その根は陰(女性性に関わりますね)の気を補い
血を巡らし、筋肉を潤しほぐします
筋肉の緊張や痙攣、痛みなどに用いられますが
もたらされるのはただの弛緩ではありません
内に凛としたものがあればこそ緩むところは緩むのです
また、芍薬の名は綽約という言葉から来ているという説もあり
※綽約(しゃくやく:しなやかで優しいさま、たおやかなさま)
すっとした軸がありながらリラックスしたその在り様は
周りの気持ちもほぐし
柔らかな空気で包みこみます
花言葉は“慎ましやか”“恥じらい”“清浄”
少女のようで控えめでしっとりと風情がある、そんなイメージでしょうか
こちらはヤマシャクク
シャクヤクに近い野生種で昔はシャクヤクの代用にされていたようですが
貴重なものなので薬効は目から入れるだけにしてくださいね
牡丹 ボタン
ボタン科落葉小低木
同じボタン科でも芍薬は草なのに対しこちらは木です
その根皮が牡丹皮(ボタンピ)という生薬となります
良質なボタンピは薬効成分の結晶がキラキラ(それに出会えるとときめく♡
ボタンピは血が滞り熱を持った状態に用いられ
その熱を散じ血を巡らします
年を重ねた方が適応となりやすいです
血の巡りというのは女性の美しさにとって本当に大切なポイント
血が心と身体を栄養して潤いをもたらすのですから
花言葉からも“風格”“富貴”といった貫禄を持つ一方で
“恥じらい”“誠実”といった部分も忘れない
そんな素敵な女性のイメージが浮かび上がります
どっしりと咲き誇る牡丹の花
“牡”の字が表す様に男性的強さもどこか備えているような、、
百花の王(女王?)です
そんな牡丹も処方の中では主薬となることはなく
実はいつも引き立て役
自分の存在に大きな安心を持っている、成熟した女性像という感じでしょうか
どっしりし過ぎると血行が悪くなりますから
そんなときはボタンピが適応になるのでしょう
巡り豊かな美しいどっしりを目指したいものです
百合 ユリ
その鱗茎を百合(ビャクゴウ)として用います
滋養強壮し、肺を潤し咳を止め、心を鎮め精神を安定させる
陰陽ともに不足したものを補います
百合病とは精神病の部類を表し
百合の配合された処方を用います
ぼんやり黙り込んで、したいことができない
様々な愁訴があっても身体はなんともない
不養生やストレス、無理な頑張りなどで消耗したときに陥りやすいのではないでしょうか
百合は脾(≒胃腸)や肺に入り、中を緩め気を調和します
五神では意や魄(五神については改めて取り上げます♪)
五情では悲しみや思いに関係してきそうですね
ここで西洋のシュタイナー的な観点を入れてみます
ユリ科は水エレメントとの関係が深く(感情に関与)
(ユリ科植物は他にチューリップ、タマネギ、ニンニク、スズランなど、、)
強い水的性質を花へと引き上げる燃焼・昇華のエネルギー、火エレメントを持つ
花の形が盃のような内部空間を持つように、その火はどちらかというと内向的
そして根が弱く木質化せずというように地のエレメントが少ない
また、花は六芒星を形作るがそれは水星の軌道を写している
水星は道化の神、遊び心を示し
ヘルメス、知性を司る神でもある
地に足がついていないとも言えますが
楽しむ心をもっているのですね
純粋で若々しいエネルギー
でも開けっ広げではなくどこか内向的
百合のようにしなやかに軽やかに歩く姿は美しいけれど
このようなタイプは消耗すると不安定になりやすい
百合の水的な潤す作用と火的なパワーと宇宙的な調和力によって
百合らしい性質をプラスに発現させるイメージかな
そういえば
ユリを飾るとお化けを呼ぶと言ってた方がいたような、、、
そう思わせる霊的で天上的な美しさを持っているのかもしれません
百合の花言葉“純粋”“無垢”
聖母マリアに捧げられた花でもあるようです
オトメユリ
シャクヤク、ボタンピと比べ生薬としての頻度は少ないけれど
ゆり根は食用としていただくことができます
(ゆり根の生産シェアは北海道が95%以上、コオニユリが主のようです)
ほっくりと美味ですよ
冬が旬なので是非取り入れてみてくださいね
《参考図書》
方術説話(方術信和会)
金匱要略方論(藤本肇先生著)
漢薬の臨床応用(医歯薬出版株式会社)
百合と薔薇ーゲーテシュタイナー的自然観察への誘い(涼風書林)