ピリカメル

植物とともに美しい世界を創造してゆく

キハダの恵み

以前、ワークショップに参加したときに

みんなで作ったキハダ軟膏が秀逸だったのですが

使い切ってしまったので自分で作ることにしました

 

 

原料となるキハダの内皮

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生薬名オウバク、肌や胃腸の炎症を冷ましてくれる苦〜い薬です

でもミカン科なので爽やかな苦味でもあります

 

 

こちらをちぎってお鍋に入れぐつぐつエキスを抽出

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大切な素材なので

三煎して色が薄くなるところまで抽出エキスを集めました

 

 

 

それを煮詰めとろっとするまで濃縮します

スケールが小さいのでエキスは鍋底に残るくらいだけども

100gぐらいの基材に混ぜてもしっかりと濃い軟膏ができあがります

(もとの原料の重さを計っていない、研究者としては落第?笑)

 

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ワークショップで使っていた基材は白色ワセリンでしたが

 

ホホバオイルと蜜蝋で作ったクリーム(蜜蝋2gに対しオイル10cc程度の割合)と

白色ワセリンと

両方試してみることにしました

 

 

軟膏板がなくても

ガラスのボウルの中で混ぜれば大丈夫

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軟膏ツボにつめて完成です

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使ってみた効果は、、

ワセリンベースが圧勝

オウバクの性質を塗った部位で発揮させるという点ではさすが

プレーンでニュートラ

もちろん相性もあるでしょうけれど

 

蜜蝋クリームベースは蜜蝋とオウバクの香り合わさってが何とも甘く心地よい

丸く優しいというか

用途を探ってみたいと思います

 

基材によって本当に全然違う

とても重要な要素だなぁと再認識しました

 

 

 

 

キハダには2年半ほど前のワークショップのご縁で人生救ってもらったくらいの気持ちがあって

特別な思い入れが生まれました

薬に関わるものとしての在り方が変わるきっかけをいただいたのです

(講師の個性的な薬剤師さんの影響大で、本当にありがとうございます)

 

その昔、疫病が発生したときには

修験道の行者が大釜でオウバクを煎じて衆生救済したと言われています

濃縮したものを板状に乾燥して製剤したものが、今の陀羅尼助(だらにすけ)などの薬につながっていて多くの人の安心になってきました

 

また戦時中に不衛生な環境に赴いた兵隊を

多く感染症から救ったのもオウバク

正露丸(当時は征露丸)のルーツとなっています

 

多くの人を救ったという意味では

疫病という恐怖にさらされていた時代において

オウバクの存在はどれほど大きかったことでしょう

 

時代は変わりましたけれども

今でも衛生事情の異なる国へ旅行する際には

オウバク製剤をお持ちになるのをオススメしますよ

 

 

 

 

 

 

ちなみに当時のワークショップの風景をちょっとご紹介

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いただくのはだいたい夏至の頃が適しています

内皮が剥がれやすくなる時期だからです

 

このように剥がしてゆきます

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断面はこんな感じ

黄色の内皮が薬用部位

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このくらい大きいスケールでできるといいですね

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天然の軟膏板、ワイルド!

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余ったエキスで染物も始まったりして

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楽しかったなぁ

そう楽しいのですよね

薬とは“草で楽になる”と同時に“草を楽しむ”ものなのです

 

 

 

 

北海道にもキハダは縁があり

アイヌの人々は“シコロ”“シケレペ”と呼び

内皮の煎じたものを胃薬などとして

また、キハダの実をお茶にしたりしていました

 

秋になり熟し黒くなったものを採取してお茶にするみたいですね

 

私も阿寒にあるアイヌ喫茶ポロンノでいただいてきました

また行きたい♪

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こちらは8月末、当別にて

実の青いものは爽やかな苦味でそのままパクパクいけてとても美味しかった

なんだかキラキラした記憶なのです

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今も昔も私たちにたくさんの恵みを

本当にありがとうございます♡